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2023.03.07

ふだんのくらしをささえるしごと⑮ 新川 愛実さん(救護施設 三徳寮)

このコーナーでは、福祉を学ぶ学生の方、福祉の仕事に関心のある方に向けて、大阪市内の社会福祉施設で働く若手職員の声を、Q&A形式でお届けします。

⑮救護施設 三徳寮 新川  愛実(にいかわ えみ)さん

・救護施設 ケアスタッフ(資格:社会福祉士)

・勤務年数:1年目(令和4年11月時点)

Q1 今の仕事に就いたきっかけをおしえてください。

学生時代福祉を学んでいましたが、就職活動するなかで救護施設について、経済的な問題だけでなく犯歴や薬物依存症、精神障がいなど社会から孤立しやすい人々の支援を行っていると知り、自分も携わりたいと思ったからです。

Q2 担当している施設での仕事は、誰を対象とした、どんな仕事ですか?

救護施設は生活保護法に位置付けられており、身体や精神に障がいや、何らかの問題を抱えていて独立して日常生活を営むことが困難な方たちが生活している入所施設です。生活保護を受給している方がほとんどですが、経済的な課題を抱えている方に限定されず、身体障がい、知的障がい、精神障がいのある人、それらの障がいを重複して持つ人、アルコール依存症の人、ホームレスの人など、犯歴のある人など多様で複合的な課題を持つ人々が生活しています。

職員は利用者がそこで生活基盤を整え、利用者の目標に沿って自立を促す支援を行っています。仕事内容について、日中の生活支援として、通院、服薬、入浴、買い物の介助や借金や年金等の事務手続きの支援、就労支援など多岐にわたります。

相談支援として、月一回定例面接の実施や個別支援計画の作成を行なっています。


三徳寮屋上の畑で作業する利用者のようす

Q3 仕事をしている中で感じる「やりがい」や「魅力」をおしえてください。

救護施設での仕事は身体的な介助だけでなく事務的な手続きの支援や相談援助、就労支援まで多岐にわたり、多くの経験ができるところが魅力だと思います。

利用者を支援するなかで、自分の支援が本当にその人にとって最善か悩む日々ではありますが、少しでも利用者に良い変化が感じられたり、「ありがとう」と笑顔で言ってもらえたときにやりがいを感じます。

Q4 仕事をしていて大変だったこと、苦労したことはありますか?

この仕事を始めて一年弱ですが、常に難しいと感じることは「利用者の意思をどこまで尊重するか」です。

担当の利用者のなかには、高齢でアルコール依存症の後遺症があるが就労意欲がとても強い方がいるのですが、一般就労は年齢的に厳しく、作業所も施設入所しながらでは法律上利用できないことが分かり、どのように支援していけばよいか悩みました。改めてその方になぜ働きたいのか尋ねたところ「社会に貢献したい」という思いを持っていることがわかり、「人の役に立っている」ことを実感してもらうために、施設内の作業やボランティア活動を積極的におこなってもらうことになりました。

この出来事を通して、利用者の言葉の背景を考えることが利用者の意向に沿った支援をするうえでいかに大切か実感するができました。

Q5 支援を必要としていないと意思表示される利用者さんと関わるときに意識していることは何ですか?

毎日のあいさつや声かけなどのコミュニケーションを欠かさずおこなうことで、自分から壁を作らないようにしています。私の経験でも、初めは私が話しかけるだけでもめんどくさそうにしていた利用者が、コミュニケーションを積み重ねることで、利用者さんのほうから相談してくれるようになったことがありました。

また、たとえ本人が意思表示していなくても、何か支援が必要なことはないか、本人の言動やようすを普段の関わりの中で注意深く観察するよう意識しています。


利用者の手作り作品

Q6 最後に福祉を学ぶ学生や、福祉の仕事に関心がある方に向けてメッセージをお願いします。

福祉の仕事は対人援助の仕事であるため、支援の方法に正解がなく悩むこともたくさんありますが、その分職員の方々は親切な方や優しい方が多く、私自身働きやすいように感じています。少しでも興味を持った施設にはどんどん説明会や見学に参加し、自分にあった職場を見つけてほしいと思います。

──ありがとうございました!

● 新川さんが働く「救護施設 三徳寮」(社会福祉法人大阪自彊館)のホームページはこちらから

画像をクリックすると施設(法人)のホームページへ移ります

● 福祉を学ぶ学生の方、福祉の仕事に関心がある方で、記事をご覧になって「こんな施設に見学に行ってみたい」「実際に職員の話を聞いてみたい」と思われた方は、大阪市社会事業施設協議会HPのお問合せフォームまで。事務局を担当する大阪市社会福祉協議会の職員が、あなたの思いをお聞きし、施設・団体等におつなぎします。

● この記事は、広報誌「大阪の社会福祉」と大阪市社会事業施設協議会HPの連動企画として、「福祉を学ぶ学生のための施設職職員との懇談会」(令和4年11月)に出席した若手職員の声をお届けしています。企画概要や他の職員の記事はこちらから。

※本記事の記載内容は令和5年2月時点の情報を基本としていますのでご了承ください。

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