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2022.02.07

ふだんのくらしをささえるしごと① 水谷千菜さん(聖家族の家)

このコーナーでは、福祉を学ぶ学生の方、福祉の仕事に関心のある方に向けて、大阪市内の社会福祉施設で働く若手職員の声を、Q&A形式でお届けします。

聖家族の家 水谷千菜(みずたに・かずな)さん

・児童養護施設職員(保育士)

・勤務年数:9年目(令和3年11月時点)

聖家族の家(東住吉区)

Q1 今の仕事に就いたきっかけをおしえてください。

学生の頃の実習で、幼稚園・保育園・児童養護施設と経験しました。その時に私自身は“先生にはなれない”と思いました。実習を通して子どもたちにとっての家庭を作る場に興味を持ち、児童養護施設への就職を決めました。

今働く「聖家族の家」は、就職フェアで知り、職員のことを「先生」ではなく「おにいちゃん・おねえちゃん」と呼ぶところに一目惚れして決めた職場です。

Q2 担当している施設での仕事は、誰を対象とした、どんな仕事ですか?

聖家族の家は、子どもたちが男女混合縦割りの15個のグループに分かれて生活しています。私はその中の3つのグループに日替わりで入り勤務しています。年齢層は広く、下は幼稚園の子から上は専門学生の子までがいます。

仕事内容は、朝の「おはよう」から、学校へ送り出し・宿題・食事準備・掃除洗濯から、夜眠る「おやすみ」までを交代制で勤務しています。休日には子どもたちと公園やテーマパーク等へ遊びに行くこと、旅行へ行くこと、通院はもちろん子どもたちの日々の生活を一緒にすごしています。

入浴後に髪を乾かしています(写真は「聖家族の家」の他の職員です)

Q3 仕事をしている中で感じる「やりがい」や「魅力」をおしえてください。

今、まさに「やりがい」を感じています。この仕事はすぐに結果が出る仕事ではなく、結果が出るまで、分かるまでにすごく時間がかかると思います。

今、入職して9年目ですが、1年目の頃に小学1年生だった子は中学3年生になる年月です。他の子も同じように成長している中で、子どもたちが「大きくなったな」と思う時、子どもたちとの関係も少しずつできてきて、お互いのことが分かり合ってきていると思う時、ふとした時に子どもの成長を感じる時が魅力であり、私の毎日のやりがいにつながっています。

また、クリスマスなどの行事の時には子どもたちと力をあわせて出し物を考えることがあります。とても大変ですが、一生懸命一緒に考えて、練習を重ねて、発表して成功したときには何にも変えられない達成感があります。

ご飯の盛り付け中(写真は「聖家族の家」の他の職員です)

Q4 仕事をしていて大変だったこと、苦労したことはありますか?

子どもたちと関係ができていない時には、ぶつかり合うことも多く大変でした。

小さい子は目が離せず怪我をさせてしまうこともありました。大きい子とはお互いの意見や思いがぶつかり合うこと、宿題一つでも一筋縄ではいかないことがたくさんあります。

しかし、振り返ったときに『懐かしいね』と笑い合えたり『そんなことあった!』と昔話ができると「働いていてよかった」と苦労も乗り越えて、またがんばろうと思えます。

Q5 働く中で制度による矛盾を感じたり、悩むことはありますか?

現場で働く職員は、日々子どもたちのために国や市など様々な制度を利用して、奨学金や助成金を調べて、施設で暮らす子どもたちが苦労しないよう支援しています。

また、退所後でもアフターケアといった手厚い支援をしています。ですが、「退所後の課題」等でピックアップされるメディア記事をよく目にすることもあります。

制度にも限界があることも事実であり、保護者との関係等で可能な範囲が限られているときもあります。いつも子どもたち第一に考えた時に、課題を感じる時、難しさを感じるところはたくさんあります。

Q6 最後に福祉を学ぶ学生や、福祉の仕事に関心がある方に向けてメッセージをお願いします。

“大変な仕事”には変わりないと思います。しかし、それ以上にやりがいと魅力がすごく詰まった仕事だと思っています。日々、子どもたちと過ごし、喜怒哀楽といろいろな瞬間があります。特に子どもたちと笑うことのできる時間は何にも変えられない大切な時間です。魅力あるこの仕事に興味を持っていただけると嬉しいです。

──ありがとうございました!

● 水谷さんが働く「聖家族の家」(社会福祉法人聖家族の家)のホームページはこちら

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● 福祉を学ぶ学生の方、福祉の仕事に関心がある方で、記事をご覧になって「こんな施設に見学に行ってみたい」「実際に職員の話を聞いてみたい」と思われた方は、大阪市社会事業施設協議会HPのお問合せフォームまで。事務局を担当する大阪市社会福祉協議会の職員が、あなたの思いをお聞きし、施設・団体等におつなぎします。

● この記事は、広報誌「大阪の社会福祉」と大阪市社会事業施設協議会HPの連動企画として、「福祉を学ぶ学生のための施設職職員とのWEB懇談会」(令和3年11月)に出席した若手職員の声をお届けしています。企画概要や他の職員の記事はこちらから。

※本記事の記載内容は令和4年1月時点の情報を基本としていますのでご了承ください。

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